危ない家庭教師〜美男兄弟の誘惑〜

「痛え……」


「バカ! どいて! 私に触らないで!」


私は握りこぶしで涼君の胸やお腹を夢中で殴ったけど、すぐにその手は涼君に掴まれてしまった。


「やめろよ。キスぐらいでそんなに怒ることねえだろ?」


「うるさい! 放せ、バカ!」


私は怒鳴りながら涼君を睨んだけど、涼君がどんな顔で私を見ているのかは分からなかった。

涙で視界が霞んでいたから。


「あんた、もしかして、初めてか?」


「悪い?」


そう。今のが私のファーストキスだった。


今まで男の子に縁がなかった私でも、いつかは好きな人が出来て、その人としてみたいと思っていた最初のキスだったのに、好きでもない子に、力ずくで奪われるなんて……


悔しくて、涙がとめどなく溢れていった。