危ない家庭教師〜美男兄弟の誘惑〜

“家庭教師なんて無駄”


その言葉の本当の意味を、その時の私は知る由もなく、“勉強したって成績は上がらない”という意味の、弱気な呟きだと思ったから、


「そう言わずにがんばろうよ?」

と私は言っていた。



「まず君の今の実力を知りたいから、最近のテストの結果を見せてくれる?」


たぶん嫌がるだろうなと思ったけど、意外にも涼君はすんなり机の引き出しから1枚の紙を取り出し、それを無言で私に手渡してきた。


その紙は、業者テストの結果だった。


早速それを見たけど、確かに酷い成績だった。5教科を見比べると、奇妙な程にどの教科も一様に低い偏差値だった。


「ねえ、英数以外もやった方がよくないかな?」


私は英語と数学を教えればよいと言われてるけど、他の科目もした方が良いのかなと思って言ったんだけど、涼君の返事はなかった。


ふと顔を上げると、涼君はベッドにゴロンと横になっていた。