危ない家庭教師〜美男兄弟の誘惑〜

「涼、先生にご挨拶しなさい」


奥さんはイライラを抑えているのか、声が少し震えている。


「あんた、名前は?」


涼君は私に視線を移すと、低い声でそう言った。


涼君って、お父さん似だ……


茶髪だったりで最初は気付かなかったけど、顔が部長さんにそっくりだ。


章さんはお母さん似で、涼君はお父さん似かあ。


似てないし、何かと対照的な二人だけど、一つだけ共通点があるなと思った。それは、二人とも美男(イケメン)という事。


それにしても、何て行儀の悪い子なんだろう……


「ちゃんと立ってご挨拶しなさい! それに目上の人に“あんた”なんて言い方はダメでしょ? 先生のお名前は昨日教えたはずだし、もう、あなたって子は……」


涼君の行儀の悪さを奥さんは叱ったけど、怒りよりも呆れたという感じだった。