奥さんが近付いて行くと、涼君はゆっくりとした動作で体を起こし、頭からヘッドフォンを外した。
「涼、そろそろ先生が見えるから、支度して待ちなさいって言ったでしょ?」
「あ? 支度ならしたさ。ちゃんと着替えてるだろ?」
「そんなの当たり前でしょ? 支度っていうのは勉強の事よ。教科書も出てないじゃないの……」
「ちゃんとそう言ってくれねえと、わかんねえよ」
「まったく、あなたって子は……」
「“バカなんだから”ってか?」
ベッドに腰掛けた涼君は、薄ら笑いを浮かべて奥さんを見上げた。
奥さんは無言だったけど、イライラした感じがその背中から伝わって来る気がした。
「涼、そろそろ先生が見えるから、支度して待ちなさいって言ったでしょ?」
「あ? 支度ならしたさ。ちゃんと着替えてるだろ?」
「そんなの当たり前でしょ? 支度っていうのは勉強の事よ。教科書も出てないじゃないの……」
「ちゃんとそう言ってくれねえと、わかんねえよ」
「まったく、あなたって子は……」
「“バカなんだから”ってか?」
ベッドに腰掛けた涼君は、薄ら笑いを浮かべて奥さんを見上げた。
奥さんは無言だったけど、イライラした感じがその背中から伝わって来る気がした。



