「純ちゃん、どうしたの?」


「ごめん、つい大声出しちゃった」


純ちゃんは手で自分の口を押さえると、周りをキョロキョロ見渡した。


「ふうー、誰にも聞かれてなさそうだね?」


今は休み時間で、教室中がザワザワしていて、少しぐらい大きな声で話しても、人から聞かれる心配はないと思う。


ところが、純ちゃんは内緒話をするように声を潜め、


「綾ちゃん、すごい事になったね? 今の話、他の人には言っちゃダメだよ?」

と言った。


「え、どうして?」


「どうしてって、綾ちゃんが男子校のプリンスの家に出入りするなんて知られたら、大変だよ?」