開始時刻は、来生さん側としては8時頃が良いらしかったけど、意外にも父が頑張ってくれて夕方からという事になった。


ちなみになぜ来生さん側が夜の開始を希望したかは、後で涼君本人から聞く事になる。

凄い剣幕で……


来生さんが提示した報酬は、私はアルバイトをした事がないこともあり、びっくりする程の高額だった。


父が恐縮して金額を下げてもらうよう交渉したけど、来生さんは頑として譲らなかった。


それだけ家庭教師の成果に期待しているのかな。あまり期待されても困るな、と思っていたら、それが顔に出ていたのだろうか、


「僕達は過度な期待はしませんから、プレッシャーを感じなくていいからね? 何も偏差値の高い高校に行かせようとは思ってないから。普通の高校に受かれば十分なんだ」


と章さんは言い、来生夫妻もそれに異論はなさそうだった。


涼君って、よっぽどデキが悪いんだなあ。


早速翌日の月曜から始めるという事になり、父と私は来生家を後にした。