危ない家庭教師〜美男兄弟の誘惑〜

更に顔を上げると、濡れた白いTシャツが透けて逞しい胸が見えて、その上には、たぶん怒った涼の顔。


たぶんというのは、上を向くと、まるで顔からシャワーを浴びてるようで、前がよく見えないから。


「綾子のバカヤロウ!」


ほら、やっぱり怒ってる。


「こっち向けよ」

「イヤ」

「なんで?」

「顔に雨が当たって痛いから」

「チッ」

「きゃっ」


私は涼の強い力で手を引かれ、立たされてしまった。


「ビショビショに濡れて、何やってんだよ?」


「涼だって同じじゃない……」


「なんで辞めるんだよ?」


「だから、言ったじゃない? 自分の勉強を……」


「違う! そんなんじゃなくて、本当の理由を聞かせてくれよ」