危ない家庭教師〜美男兄弟の誘惑〜

「な、何?」


「具合悪いの?」


「具合? どうして?」


「綾子が何度も溜め息つくからさ……」


「私が?」


「ああ」


私は無意識に溜め息をついていたらしいけど、自分ではちっとも気付かなかった。


「ごめんなさい。具合が悪いわけじゃないんだけど……」


「“けど”なに?」


「ううん、何でもない。勉強を続けて?」


「言ってくれよ? 気になって勉強どころじゃないから」


涼はシャープペンをテーブルにパシッと置いてしまい、私の話を聞くまで勉強は再開しない、といった構えだ。


どうしよう……


私は冴子との事が気になってしょうがない。

それを涼に聞いてみたいと思うけど、決定的な言葉を涼から聞くのが恐い。

その二つの矛盾する想いが、私の中でせめぎ合っていた。