危ない家庭教師〜美男兄弟の誘惑〜

その日の夜。


涼は私の向かいに座り、下を向いて数学の問題集に取り組んでいる。


テストで本気を出し、高校へ進学してサッカーをやるって決めたあのバーベキューの日以来、涼は真面目に勉強するようになった。


こんな涼を知ってるのは、たぶん私だけ。


自分の勉強をするつもりでテーブルに参考書を出して開いてはいるけど、涼の事が気になって、全然それに集中出来ない。


涼……本当に冴子と付き合ってるの?

冴子とキスしたの?

冴子のこと、好きなの?

私のこと、どう思ってるの?

ねえ、涼……


私は涼の茶色いサラサラの髪に、手を触れたい衝動を懸命に堪えていた。すると、


「綾子……」


不意に涼が顔を上げ、私の名を呼んだ。


その澄んだ黒い瞳に見つめられ、私の心臓がドキンと跳ねた。