危ない家庭教師〜美男兄弟の誘惑〜

五月晴れの清々しい昼下がり。


こんな風に父と歩いたのはいつ以来だろう。そう考えたけど、思い出せない。


もしかすると、初めてかもしれない。


「お父さん……」


私は無意識にお父さんの腕を掴み、甘えた声を出していた。


「ん? どうした?」


「な、何でもない」


何やってんだろう、私は。


すぐに父の腕から手を離し、俯き気味に歩き出した私の横で、父は首を傾げていた。



「おお、着いたぞ?」


父に言われて顔を上げると、“来生”と書かれた立派な門扉が目に映り、急に緊張感に襲われた私は、ゴクリと唾を飲み込んだ。