ーーー真琴の家の近くの公園


真琴は待ち合わせの時間より

かなり早く着いた

少しでも心を落ち着かせる為・・・


(ちゃんと話できるかなぁ? 

拓の顔見てちゃんと言えるかなぁ・・・

薫の事・・・)


その時遠くからあの懐かしい姿が・・・

ハードな夏の練習のせいか

拓は少し痩せて見えた


制服やユニフォームとは違い

少し大人びて見える


カッコ良く着こなした腰パンのポケットに

両手を突っ込んで 

少し跳ねた様に歩く姿・・・


ちょっと照れたような笑顔が眩しい



「ヨッ!!!」

拓は今まで悩んでた事なんか

おくびにも出さずに

甘えたように切り出した


「まこっちゃん~~~どうしたんよ?

ひょっとして携帯替えた???」


(そうやねん・・・長い事ごめんな・・・)

そう言えたらどれだけ幸せか・・・


でも伝えなければならない 真実を・・・


そうじゃないと拓は納得しないだろう




私は意を決して話し出した・・・



中学生の頃付き合っていた彼がいた事

その彼が二人で遊んだ後

事故に遭った事

一命は取り留めたが今も病院で

闘病中である事

しかも回復の見込みの少ない

意識不明の状態である事・・・



一気に話し終えた私の横で 

拓はガクっと肩を落として震えている


拓は泣いていた・・・



これ以上そんな拓の姿を見るのが辛くて

「ごめん・・・今まで有難う!」



そう言って立ち上がった私を

ーーー背中から抱きしめて こう言った



「俺・・・真琴の力になりたい・・・

もし迷惑でなかったら・・・

遠くからでいいから

真琴の事見守ってていいか・・・?」



(薫・・・これだけは許してね

・・・何でって・・・それは・・・ 

拓って薫にそっくりなんよ!!



私は背中から感じる


精一杯の愛情を受けとめていた・・・