黎子と塔子、それに仲のいいメンバーが

タクシーに相乗りしプールバーへ向かった


もちろん拓と真琴も一緒だ


「無理矢理連れてきたみたいやけど

大丈夫やった?」


相変わらず拓は優しく気を使っている


「平気!理香と一緒やったら親何も言わんし」


ホッと拓の顔が綻ぶ

二人の距離が近ずくのを感じた




案内された店には数台のビリヤード台があり

あちこちに水をモチーフにしたオブジェが

お洒落に演出されていた


一同は大人の雰囲気に酔いしれた


彼らは他の客の手前個室に案内された



遅れて孝介が到着し

ワンドリンク限定でアルコール類を

出してくれた


姉のカクテルを盗み飲んでいた恭二は

もうかなりのハイテンションだ


いきなり黎子を誘い一台のビリヤード台へ

戸惑いながらも楽しそうな黎子


壮太と理香もそれに続く



康平と咲季は塔子の質問攻めに合っていた




拓は真琴を誘い水槽の前の

テーブルに移動した



大型の水槽の中には色とりどりの

海水魚が優雅に泳いでいる


それを可愛い顔で見つめる真琴がいる


拓は目の前の真琴を離したくなかった



もう待てない

今すぐにでも抱きしめたい…




さっき飲みほしたモスコミュールと

この店の雰囲気は拓に勇気を与えた


素直に言葉が出てきた



「俺は今でも真琴の事が好きやで!」


「・・・・・」


拓はそっと真琴の顔を覗いた


真琴は泣いていた

でもその表情は悲しんではいない


拓は優しく真琴の涙を指で拭った



「私も…やっぱり拓がいい…」



拓は思わず真琴にキスをした


薄暗い店内で客側に背を向けている二人に

誰も気付いてはいなかった




ただ目の前をゆったり泳ぐ魚たちだけが

こんな二人を見ていた…