すべてを忘れ野球に没頭しようと

心に決めたものの

拓の調子はあがらない


コンディションは最悪だった


もともと細身の拓はこの1年で

体は一回り大きくなったとはいえ

スタミナ面で不安があった


この猛暑と連日の激しい試合で

拓の体力は限界に近かった


いよいよ明日大会初戦を向かえる前に

拓は先発の座を奪われた


焦れば焦るほどコントロールが乱れる

速球には威力があるものの

ストライクが入らなければ試合にならない


拓の歯車が少しずつ狂い始めていた