あれから私は寝坊することもなく

いつもどおりの電車に乗っている


祥子も拓に会いたい気持ちはあるものの

やっぱりあの寿司詰状態の

電車はこたえるようで

私と同じ電車で通ってる


それに遅刻ギリギリになるから

駅からダッシュしないと

ならないとなると

これからの季節汗でせっかくの

メイクがくずれる


(今の私たちにとってメイクは命!!       

必要不可欠やし…)


時々寝坊して

いつもの電車に乗り遅れた時でも

彼らに会う事はなかった


メールでやり取りをしている

祥子によると

K校でも野球部の朝レンが始まり

1時間以上も

早い電車に乗っているそうだ



もう彼らに会うこともないだろう

祥子は別としても 

少なくとも私は…



あの痴漢の事もK校の彼らの事も


私の記憶から薄れつつあった…




私には忘れられない…

忘れてはいけない…

大切にしまっている“思い”があるから



通い馴れたその病院に着いた


二年前のクリスマスの金曜日 

それから毎週金曜に




私は薫に逢いに行く……