ふたりだけホタルの光に包まれている。 淡い光の中で奏さんがわたしを見てる。 「きれいだな」 え? 「その浴衣……似合う」 奏さんが一瞬照れくさそうな顔をした。 「りお、」 名前を呼ばれた瞬間に、抱き締められた。 「奏さん…?」 「悪りぃな、少しだけでいい。今はこのままで……」 奏さんの体が震えてる。 どうしたの? 「奏さん?」 奏さんの小刻みに震える背中に手を添えた。 わたしにできるのはこのぐらいしかない。 背伸びして、奏さんの背中を抱き締め返す。