いつからか、村野くんがあたしのことを好きだという噂が流れた。
それに便乗して、人生初の告白をした。
――――「じゃあ…よろしく」
ぶっきらぼうに言う村野くん。
この日から彼は……
あたしの恋人で、
あたしの『諒太』になったの。
二人きりではないけど、デートもした。
彼からの愛も、少なからず感じていた。
“相思相愛” “美男美女カップル”
いつの間にかその肩書きでいろんな学校に広まっていた。
みんなが知っている、紛れも無い事実。
あたしは幸せで幸せで仕方がなかった。
諒太のお母さんも、お父さんも美男美女でいい人。
お兄さんだけが少し冷たかったけど、諒太に並ぶ顔立ちだった。
家族でもどこでも公認で、こういうのを夢見ていた。
だけど――――――
「引っ越…し?」
「あぁ。兵庫県だ」
「あなたももちろん来るのよ、海来」
お母さんとお父さんの仕事先が変わり、卒業間近にあたしは愛する人から離れた。
一ヶ月間は、遠距離恋愛だった。
メールも毎日していた。
本当は、―――不安だった。
彼から、メールが来ることは無かったから。
いつも、あたしからだったんだ。
桜の散る頃…。
どこかで分かっていた時間が訪れた。
携帯のディスプレイに映った、何十日ぶりかの文字。
複雑な心境で、あたしは開く。
これに出たら、終わりなんだ…。
それでも、彼の声を聞けないままなのは嫌だ。
彼からの気持ちを、あたしが受け取らず無視することは出来ない。

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