その日の組み手、運悪く先生とになってしまった。
「「よろしくお願いします」」
この日のあたしの状態は絶好調。
いくら先生でも、負けることはなかった。
結果、あたしの一本で審判はあたしの旗を上げた。
「ありがとうござ「すまん。もう一回やらせてくれ」
先生が手を上げる。
審判はあたしの後輩だ。
従わないわけには、行かない。
師範は自室で書類の整理等をしていたらしい。
ここにいる人の中で1番偉いのは、先生――。
「始めっ!」
「「お願いします」」
あたしは間合いをとって後ろに下がる。
先生も師範の教えだからそうするはず、だったけど………
先生はあたしに向かって一歩、二歩とすたすた近づく。
「調子にのるな」
「えっ」
上から低い声が聞こえたと思い、顔をあげようとしたときには――――
ゴッ!!!
「ゔ…っ!!」
溝うち、下からのアッパーだった。
あたしは転げるように倒れ、溝を押さえる。
「げほっ…」
「「大野先輩!!」」
余りの騒ぎに自室から師範が出てきた。
「どうした?……真白?!」
駆け寄る師範はあたしの溝を見ながら顔を上げた。
「どういうことか、説明しろ」
先生を見上げて、師範は厳つい顔をした。

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