シエル様の表情が不思議そうなものへと変わった。



『私の顔に何か付いてるいるか?』

『いえ、ルナもリオもシエル様に似ているなと思ったので……』

『そうか、ルナの好奇心旺盛なところはローズに似てしまったようだがな』

『ローズ様にですか?』



何か思い出しているのか、苦い顔をするシエル様。


ローズ様は好奇心旺盛な方には見えない。



『好奇心旺盛と言うか、自分の気持ちに素直なところだろうか…似ているのは』

『それはなんとなく分かる様な気がします』

『だが、だからこそ私にはないものをたくさん持っている。そういうところが人を惹きつけているのかもしれない。カインもその内の1人だ』

『シエル様もその…darkmoonの頭と面識がおありなんですか?』



まだ自分の口から父とは呼べなかった。


頭では理解しているが、口に出す事を恐れているのかもしれない。


口にした瞬間体が黒い血に支配されてしまいそうな気がする。



『城に侵入してきた時に会っただけだ。だがまともに顔を合わせたことはない。次にカインを見たときはもう既に死んでいた』