「美しい御嬢さん、お困りのようだね」
しわがれた老婆の声
悪意で満ちている嫌な気配
「なにこの気配、なんかすごく寒気と吐き気がする」
若菜の体に眠る本能が告げる
この声の主と関わってはならない、と
「ついに来たわね」
ミランも顔を歪ませている
「世界で一番美しい人魚の御嬢さん、お前の願いを何でも叶えてやろう」
悪魔のささやき
絶対にこの甘言に乗ってはならないのに
「…あなたは?」
カレンは今までに見たことがないほど、この得体のしれない存在に怯えていた
その証拠に顔が真っ青だ
「あなたは誰ですか?願いを叶えてくれるって本当ですか?」
カレンはなおも顔をそむけることが出来ない
すがりつくように疑問を投げかけた
「あぁ、大きな金の瞳でそんなに見つめないでおくれ」
老婆は額に手を当てて、倒れる真似をした
「私は誰かと言ったね?答えよう。この海の底に何百年も生き続けている魔女だよ」
魔女と名乗る老婆はにやりと顔を歪ませた


