トリップ少女


「やっぱ違和感あるなぁ…」



若菜は自分の姿をまじまじと見つめた



下半身が魚ってさ…まぁこれが人魚なんだけどさ


綺麗な色だから良いけど、地味に鱗だって鮮明だし、なじめっていう方が無理だよね普通




「何よ、人魚姫を選んだのはあなたじゃない。まさか人間の姿のまま物語に入り込むとでも?思いっきり浮くじゃない!!」


ミランが「これだからバカは、」と言っているのが全身から伝わってきた




「そうだけど……ミランは違和感とか動きにくいかなって感じないの?」



「ないわよ。むしろ人魚になるなんて夢じゃない!!そう、まさに夢!!!楽しいじゃない。普通に暮らしてたら絶対ぜえええええったい体験できないわよ!」




…ミランと私じゃ精神構造が違う



ここまでさんざんバカ呼ばわりされてきたが、自分の神経はまだ正常だと若菜は再認識した





「とりあえず、カレンさがそっか」



若菜は気を取り直して“現実”と向き合った



「あら?探す必要ないわよ。カレンはあの住処から決して出ないから」



-決して出ない-



ミランがさりげなく言ったその言葉が、若菜の胸にちくりと刺さった