水面から顔を出した いまだかつて触れたことのないものが頬を叩く 「これが“空気”?」 カレンは空を仰いだ 「真っ黒ね。それに、上から水が降ってくるわ」 「それは“雨”よ。今日の天気は嵐みたいね」 ミランがついてないわ、と小さくこぼす 「これが“雨”…この黒いもくもくが、“雲”?」 「その通り。今日はご機嫌斜めみたい」 波は大荒れ 海底ではいつも波は一定なものだから、泳ぎの達人の人魚でさえ泳ぐのに不自由していた 不機嫌な空に時折見え隠れする稲妻 嫌な予感が体中を駆け巡る