トリップ少女


歴史を感じさせる建物だった


「これ、築何年よ…」


若菜はきょろきょろ見回して言った





「人の家を凝視するなんてお行儀がなっていないこと。こんなのを召使としてでも家に入れるなんて、旦那様も気が可笑しくなったのかしら」


美しい婦人が現れた


美しいけれど、意地の悪い目をしていた



「あなたは…?」


「若菜!!いきなり名前を聞くなんて失礼でしょう」


ミランはひやりとしてたしなめた



「どうせ召使になる程度の人間、期待などしていないけれど…全く、とことん教育がなってないわね」


フンと鼻を鳴らして、婦人は二人を睨みつけた



ミランが空気を読んで、下手に出て言った


「奥さま、大変失礼いたしました。私は、本日より召使として働かせていただきます、ミランと申します。こちらは若菜です。先ほどは若菜が失礼いたしました。若菜は経験が少ないのですが、奥さまにこれ以上失礼がないように、私が厳しく注意いたしますゆえ、どうぞお許しくださいませ。」


(えぇ―!!!!!!!)


若菜は心底驚いていた


驚きすぎて、驚きを隠すことが出来なかった


あのプライドの塊みたいなミランが、頭を下げている…!?



後妻のアイリスは、満足げになめるような意地の悪い視線をミランに向けた



「そっちの長髪の方は自分の立場が少なからず分かっているようね。お前たち、今度私の機嫌を損ねるようなことがあったら即刻首、わかったわね」



アイリスは雑用を押し付けるだけ押し付けて、踵を返して去って行った