AM7:45


「若菜―!!若菜、起きなさい。遅刻するわよ-」



「えーまだ寝てたい…遅刻って…え、遅刻!?今何時??えっうそでしょ??こんな時間!?!?!?」



若菜はベッドから飛び起きて、制服に着替えながら階下に降りた母親に叫んだ



「もーなんで起こしてくれなかったの!」


「何度も起こしたわよ。でもあなた全然起きないんだもの。お母さんあきらめちゃった」



てへっ



そんな効果音が聞こえてきそうな母の背中に悪態をついて準備をした




「あ、そうそう」



母親が振り返って少し困ったような、少し咎めるような顔を向けた



「夜中にベッドの上でお菓子食べるのやめなさい。太るわよ?」



「はい…?」



若菜は改めてベッドの上を見回す



ベッドの横、床、掛布団の上に煎餅やらポテチやらチョコレートやらの包み紙が大量に散乱している




「あいつっ…」



「あいつって?」



母親がきょとんとした顔で聞き返す



若菜はさっと背筋が凍るのを感じて、



「ううん!!何でもない!!それより早くご飯用意して!大急ぎで食べるから!」



少々不自然な焦り具合で母親の背を押し、部屋のドアを閉めた






「ったく…片付けくらいしろよな…」


若菜がぶつくさと文句を言いながら片付けていると、若菜が昨日トリップして入った『人魚姫』の絵本が目に留まった