トリップ少女


夜の海はとてつもなく静かで、この静けさがかえって不気味だと若菜は思った




「いたわ」



ミランが指差した先は、城のバルコニーだった



王子が誰かと二人で夜風にあたっている




「たしかあの隣の部屋にカレンが寝かされてたよね?」


「ええ」




若菜は目を凝らしてバルコニーを見た



王子の隣にいるのは女性のようにも見えるけれど、だれなのかよく見えなかった




「もうちょっと近づいてみない?暗くて全然見えない」



「王子の目線がどこに向いているか分からないから、ちょっと遠回りだけど岩の陰を通っていきましょう」




ミランと若菜は王子を見失わないように、見つからないように注意を払いながら城に近づいていった