ちょっと今日までを振り返ってみましょう。
――小さい頃。
美世が4歳だったっけ?
で、俺は10歳だった。
美世が初めて俺に『だいすき』って言ったのは、あの時だったと思う。
「みよね、おおきくなったら、まーくんとけっこんするっ!」
なんて、可愛い笑顔を浮かべて言うから、俺も
「約束だからな?」
なんて、指切りをした幼い思い出。
自分の親にも、美世の親にも、『結婚しなさい』と言われたことはあったけど、本気にしていなかった。
けど、美世に言われた時。
その笑顔にちょっとドキッとして、指切りをしたその小さな手を守りたいと思った。
今思えば、俺はあの時、美世を好きになったんだろう。