ソファーに沈むように深く座って溜め込んだ映画を選択する。
マウロが頭突きをするように甘えてきては黄色い瞳で見つめる。

「ただいま~」
彼女の帰宅は12時過ぎ。
帰りは、いつもタクシー。

「おかえり、メシ出来てるよ」

シチューにもう一度、火を入れる。

メイク落としで顔を拭きながらマウロに「ただいま」と、じゃれるのが彼女の日課。

「今日の献立は…シチューとバケット?」

落ちているパン屑を拾い上げ僕を見る。

「惜しいな、シチューとブルスケッタだよ」

彼女の手からパン屑を奪う。