「……な………んで………?」 僕はそれしか、言えない。 「なんで…………」 僕は瞬きも忘れ、目を見開く。 目の前の光景。 いや、他の人間が見ても、何も見えない。 だが、僕には。 『選ばれしヒト』には。 カリアとファギヌを取り巻く、真っ黒の煙りのようなものが、見えた。 僕はそれが、わかる。 11年前に見たのと同じだ。 『呪い』だ。