鳥居の中は入ってみるとそこまで外と変わりはなく、異様に感じた空気も入ってしまえばそこまで気にならない。

何故青年は此処へ入れなかったのだろうか。
そして、どうして私は入れたのだろうか。

謀られたのかと思ったが、理由が見つからない。



暫く歩き振り返ると、もう既に青年は見えないくらい進んでいた。


最初は先ほど化け物から受けた傷が痛んでしょうがなかったが、幸い傷が浅かったのか、次第に自己再生が始まったようで少しずつ痛みと傷口が消えていった。

そのときの変な感覚は言い表せないが、自分の中の何かが減ってしまった気がした。



これが寿命が減る感覚なのだろうか…。



歩き続けても、景色は一向に変わらない。
それどころかずっと先を見渡しても、木々があるだけだった。



もういいのではないか。

このまま引き返せば、何事もなくこの状況を抜け出せる。


一人というのはとても心細い。
何かあっても、対処できるとは思えない。

そう思い、引き返そうと方向を変えた瞬間。


ぐにゃりと視界が歪む。

体が思うように動かず、ふらついて転げそうになるのを必死に足を踏ん張って耐えた。


それは一瞬で、直ぐに元に戻る。
急な異変に不安を覚え、歩調を速める。


何事もないように。
青年のところまで。


いつの間にか走っていた。

此処に来るまでだいぶ時間を費やしたようで、結構走っているのに鳥居は一向に見えてこない。



早く早く―――。



焦燥に駆られながら走っているとやっと鳥居が見えた。
こちら側から鳥居に寄りかかる人が見えた。





良かった―――。