それに従おうとして、はっとあることに気づく。
私、武器を持っていない。
化け物に刺したまま抜かなかったため、手元に何もなかったのだ。
チラリと物言いたげに青年を見ると、眉を顰められた。
そして、腰に差してある二つの刀の内の小さい方を私に押し付ける。
「扱えるとは思わないが、持たないよりはマシか。」
嫌味を言われた気がしたが、気にはしない。
そんなことよりも、刀を貸してくれるとは思わなかった。
青年が戦闘時に常用しているものよりも小さいそれは、柄に金の装飾が施されており実践向きではなくどちらかというと飾るための物のように思えた。
しかし、少しだけ鞘から抜くと綺麗に研がれているようで、月の明かりに反射して閃光が走った。
これで、少しは…。
私は鳥居に体を向け真直ぐ進み始める。
「…軽く様子だけ見てくればいい。何もないようなら直ぐに戻れ。」
その言葉は私を身を案じてのことか、それとも早くしろと言っているのか。
真意は分からぬまま、私は鳥居の向こうに足を踏み入れた。
