「此処にくる者は事前の契約が必要なはずだが…。

女が此処へ連れてきたのだとしたら…相当焦っていたのか。」 



どういうことなのか。

青年は一人で考え込んでいるため、私は何も分からない。



「あの…私にも教え―――」


言い終える前に急に青年が振り返り、私の腕を強引に掴んで引き寄せた。

片腕で抱きしめられると、腰の辺りでカチャと音が鳴り、刀が取り出されたんだと分かった。



何―――?

後ろを振り返ると、燃えるような赤。
血にしては鮮やかな色の…頭?

ガチガチと歯を鳴らしながら、ギョロリと白目である筈の部分が真っ赤に染まった瞳で見つめてくる。

口ものからは汚物のような異臭を放つドロドロしたものを流していた。


…怖い。


何度おかしなものを見たって、慣れない。

それに、この青年は強い。

だから頭が真っ白になって無我夢中になる事がなかったので、やけに冷静にみて状況を認識してしまう。


途端に震える体。

そう。いつだって守られる立場になると、自分は極端に弱くなる。


一方青年は余裕な様子で、頭上でハッと嘲笑ったのが聞こえた。

「…身の程知らずも良い所だな。」

化け物が襲ってくると、私をそのままにして軽やかに切り伏せた。

頭が真っ二つに割れ、中から出てきたものに私は目を背ける。


「…行くぞ。」


私を解放すると何事もなかったかのように進み始める。

何故この人はこんなにも強いのだろうか。