青年は言っていた通りに、小屋から少し離れた森の入り口で木に寄りかかりながら待っていた。

時折、奥の様子を伺っている。

青年が私に気づくと、付いて来いというように視線を送って歩き始めた。

私は黙ってただ付いていく。





少し足が疲れてきたなと思った時、不意に声をかけられた。


「女…とはどのような容姿をしていた?」

「黒く長い髪に、紫色の着物を着ていました。」


青年は無表情のまま更に様子について訊いてきた。


「変…でした。」

その答えに険しい顔をして、


「…詳しく説明しろ。」
 
「えっと…、私たちが見たのは人の形をしたものを楽しそうに何度も何度も刀で刺して切り殺していたところです。」


「…他に面識は?」

「此処に来る直前に会いました。」


そこまで聞くと、妙に納得したように小さく頷く。

しかし、私は全く訳が分からない。


少しでも、知っていることを教えてはくれないだろうかと後姿を眺めていると、その気持ちが伝わったのか、

「…此処は本来死者の来る場所だったようだ。もしくは、生と死の境を行き来する者。」

青年の足取りが緩くなった。



「その点で…お前は此処に来るはずではなかった。
此方はもう隠す状況では無くなった。


…俺が知っている限りの情報をお前に与えてやってもいい。」


突然振り向かれて見つめられる。

その鋭い表情に一瞬たじろぐ。



「…お前が俺に良い様に利用されるのならば。」