嘘婚―ウソコン―

それからゴソゴソと何かを確認したかと思うと、千広の前に何かが置かれた。

「…えっ?」

千広は友美とそれを見つめた。

「陽平に返して欲しいの」

友美がニコッと笑って、唇を動かした。

千広はそれを持ちあげた。

銀色のチェーンの先には、小さな透明なハイヒールがついていた。

これを陽平に返して欲しいって…?

千広は友美を見つめる。

「それね、陽平が初めて作ったアクセサリーなの。

彼曰く、“シンデレラのガラスの靴がモチーフ”だって。

陽平は失敗作だってぼやいてたけど、私はそれがすごく気に入って、陽平に無理を言って譲ってもらったの」

友美はそこまで言うと、長いまつ毛を伏せた。

「だけど…私は陽平のシンデレラになれなかった」