千広が返事をすると、
「ふーん、だからバイトしてたんだ」

陽平が呟くように言った。

「じゃあ、始めようか。

そこの段ボールをとって、1番左のヤツ」

陽平が段ボールを指差したので、
「はーい」

千広は作業を始めた。

ここでの初めての仕事は荷物の整理である。

それは仕方ないか、オープン前ならではの仕事なのだから。

「周さんって、どうしてデザインの仕事をやってるんですか?」

陽平のところに段ボールを運びながら、千広は聞いた。

こんな質問をしたのは、知りたかったからだ。