モデル同士の恋

しばらく、葵くんを見つめていたら、また口を開いた。


「俺たちさ、まだ付き合ってないよ?
さっきは言っちゃったけどさ」



「…え…─」


「だって、好きなのは誰かわかってないもん」


それ、は、そう…だけど。

「だから。
行ってきなよ。

答え見つけな」


力なく笑った葵くん。



そ、んな…

優し、すぎ…だよ。



「…なんのことだか知らないけど。

行くぞ!」


葵くんと話している間もずっと握られていたその腕が引っ張る力を強めた。



でも、あたしは動かなかった。


どうしていいのかわからなくて、その場に立ち止まった。


わかんないよ…。




「迷う必要ないじゃん?
早く行っておいでよ」


せっかちなところは、どんなときでも一緒な葵くん。


…ありがとう。



あたしは心の中で一言、颯太に感謝の言葉を告げて力が入っている腕の方へ体を預けた。




…本当はね、こうしたかったの。


少しの時間でも長く、颯太の隣にいたかったの…。



それを必死で誤魔化してて、颯太の幸せを考えようとしてたんだと思う。



ごめんなさい。


自分の気持ちに、嘘はつけないみたい。



これから、颯太に何を言われようとも。



…颯太も葵くんも、


振り回してごめんなさい─


ほんとに、ほんとに…


ごめんなさい