モデル同士の恋



「あんたのファン毎日ウザイんだけど!
どうにかしてよ」

内容は基本、ファンの愚痴だけど。


颯太に言ったってどうしようもないことはわかってるし、いつも同じ答えしか返ってこないけど…むかつくものはむかつく。




「そう言われたって俺にはどうすることもできねえって言ってんだろ」

ほら、またこの言葉。


あたしも決まって同じ言葉を返す。


「あんたならできる!」


なにができるんだかあたしにもわかんないけど、なんとかしてほしい。


「意味わかんねぇし…」


自分でもわかってないもん。



でも毎日面倒なことに巻き込まれるのは嫌だ。



「毎日毎日あんな風に
言わなくてもいいのに…
女って怖い」


まあ、こんな風に陰口でヒソヒソ話されるならまだいい。


たまーにある、呼び出しというものがめちゃくちゃ面倒くさい。


ひとりでいるときがまったくと言っていいほどないから、大体は颯太が来て、事を丸く納めるのだけど。


そう考えると颯太のモテる理由がちょっとわかったり。


…わからなかったり。




「お前女じゃないもんな」
颯太はニヤリと笑ってあたしを見る。


今ちょっとはいいやつ、なんて思ったのに。

前言撤回します!


「あたし正真正銘女ですけど!」

つい大声を出してしまい、さらに視線があたし達に集まる。



「大声出し過ぎだ馬鹿」

颯太が苦笑しながら頭を軽く叩く。


「いったーい!
颯太のばーか」


「馬鹿はお前だろ」


「あたし颯太よりは馬鹿じゃないし!」


そんな言い合いをしながら、いつの間にか目の前まで来ていた教室のドアを開けた。