「また颯太君と登校?
幼なじみだからって調子乗ってるよね」
ふたりで学校へと向かい、昇降口につけば、あちこちからそんな声が聞こえる。
はぁ、またか。
そうため息をつく以外、何もする気が起きない。
颯太のファンクラブ…みたいな集団は一緒に登校するあたしがどうやら気にくわないようだ。
入学してから一緒に登校しなかった日は両手で数えられるくらいなのに、毎日毎日そんなこと言ってて飽きないな、なんて少し感心してしまう。
ひどい人は中学時代からこんな追っかけまがいのことをやっている。
まあ、颯太はモデルやってるだけあってカッコイイ…らしい。
あたしからしてみたらよくわからないけど。
というよりただの馬鹿としか思えない。
こんな奴に何年も入れ込むんだったら、もっと手近にいい人がいたと思う。
っていうか絶対いた。
でもファンの人たちにとってはあたしと颯太が仲良くしているのが気に入らないみたいで何かと突っかかってくる。
颯太が誰と登校しようが
どうでもいいじゃん。
なんて歯向かいたくなるけど、何をされるかわからないから黙っておく。
っていうか彼女じゃなくて幼なじみなんだから別にいいでしょうが。
それでも毎日だとさすがにあんな風に言われるのももう慣れた。
勝手に言ってればいいじゃんみたいな?
関係ない人ばっかりだし。
無視してそのまま颯太としゃべっていく。

