「何、誰?」

「陽(あきら)!」

「そんな待ってましたみたいに言わなくても…」


オレンジジュースを飲みながら、片手でケータイを開き、フォルダからクラス写真を見つけ出してズームする。右にスクロールさせて、溝越くんの顔をまたズームする。


「イケメンだし、ちょー優しいし、もう全てが完璧!」


要約するとそんなようなことを言っている美咲を他所に、最高までズームされた溝越くんの顔をみる。

確かにイケメンだし、私も前にほんのちょっと喋っただけだけど、優しさが手にとるようにわかるような人だった。

美咲に見合うと思うし、個人的には大賛成であるのだが…、


「裕美は誰かいないわけ?」

「うーん…いまんとこないかな。」

「でも後の席の…ほら、なんだっけ…」

「あぁ…、夏目くん?」

「そう、有希!最近仲良くない?」

「そう見える?ただ、授業わからなくてきいてこられるだけだから…いい迷惑っていうか」


そこまで言うと、美咲はぷくっと頬を膨らませる。そんな些細な仕草が女の子らしくて、素直に可愛いと思った。