あたしは後ろ髪引かれる思いで、病院を後にした。 『待っててやるから』 健ちゃんが望んでいる結果を手に入れたくて。 健ちゃんのもとに、病院に… 悠を連れて行ったら、健ちゃんが助かるような気がして。 あたしは、涙をぬぐって走り出した。 握り締めた手の中、健ちゃんの家のカギが突き刺さる。 さっきたどった道を思い出し、同じように引き返す。 健ちゃん、どうか無事でいて。 それだけを心に願って。