やっぱり新ちゃんは意地悪だ。
一瞬でも優しいなんて思った私が間違ってたよ。



唇を尖らして怒った顔をした。
もちろんそんな抵抗は無意味で逆に唇を摘まれる始末…。



「痛い、痛いー!!」

「は?摘まれたかったんやないんか?俺はてっきり……」

「そんな訳ないやん!もうモテ男発言は前言撤回っ!!」



いつもと同じ笑い方。

からかってるけど、何でか憎めない笑い方。


私が怖い思いした事忘れさせようとしてくれてるよね。

わかってるよ……、本当はわかってる。




素直になれない私でごめんね。

けど、あの時の新ちゃん…。







すっごい頼りになる男の子だった。

まぁ……、絶対に言わないけどさ。











夏が始まったばかりの午後。

オレンジジュースの甘さ。

むせ返る……夏の香り。













何かが起こる予感がした。