――カラカラカラ――



誰もいなくなった教室に戻った。

明日1日使って片付けをする為、部屋の中はクレープ屋さんのまんま。


トッピングブースを見たら何枚か生地にラップがしてあった。




「…イチゴ生クリーム……」


余った生地にクリームとイチゴをのせてくるくる巻く。

そのまま口の中に運んだら、わぁーって甘さが広がった。



「…奏くんの……甘党…」



外を眺めたらキャンプファイアーの火が空高く燃え上がった。

私がさっきいた場所には奏くんと美桜が見える。


顔まではハッキリわからないけど…、笑っていてくれるといいな。




奏くんには笑っていて欲しい……。











窓を開けたら風が頬を通り抜けていった。

耳に入ってくるのは楽しそうな生徒達の声。


さっきまで止まっていたはずの涙が溢れてくる。





奏くん…。

奏くんが好きです。



胸が張り裂けそうな位痛いです。





でも……、でもね…。



奏くんの笑顔を見たいから、私の想いは伝えないでおく。



だからお願い…。







笑ってて………。











窓枠におでこをつけて泣いた。

真っ暗な教室を照らす炎の明かり…。


来年は……、笑いながらあの場所に居たい……。



そう、心で願った。