手を頬に添えられて、体が膠着。



「ずっと、好きやってんで。
せやのに、芽依実ちゃんは難波ばっかり見てて妬けんねん」



「ちょ、ちょ…っ」



徐々に近付いて来る顔。

顔が固定されてるから、私は逃げられない。



「俺だけを見てくれや」



「ンンッ…!!!!」



…止めて…。



「ンや…あ…ッ…!!!!」



腕を叩いても無意味。

唇を強く閉じようとも、舌は私の中で蠢(うごめ)く。

年甲斐もなく、キスだけで涙が溢れる。



「や…め……て――ッ!!」



何とか力を振り絞り、速水を突き飛ばした。