「芽依実!俺が頼んだ資料…」



「まだ――ッ!!」



課長室のドアから、首だけを出して言う叔父さんに八つ当たり。

母親が、「何を怒ってるの…」と、驚きながら見て来る。



「別に」



通路側を向き、煙草を銜えるも、ライターの火が、上手く点かない。

…あーもっ!!



「めい?」



母親が私の肩を揺する。

私はその手を払い、「急騰室」と言って、席を立った。

急騰室の茶棚の引き出しに、マッチがあるんだ。

マッチを擦り、ようやく煙草を吸えた。



「ふぅ……」



紫煙を吐き、気持ちを落ち着かせる。