…速水…。



「お世話になってます。速水洸朔の母です」



…やっぱり。

映子の従兄が速水とは、世間も狭い。



「洸朔君さ、実はある事件から逃げて来たの」



「あ、でも…後輩だったかしら…難波さんは違うんですよ?」



「難波も、ご存知なんですか」



お茶を飲み、目の前に座る映子と目が合うと、「私が話すよ」と言う。

速水のお母さんは、背中を丸め、話すのが辛そうだ。



「去年の終わり頃、洸朔君の妹の洸佳ーコウカーちゃんが亡くなった。警察官になって半年だったかな…」



―――……。