穴に指を突っ込み、ジャケットやワイシャツを裂き、弾の刺さり具合まで確認してるし。



「これなら大丈夫やな」



「医者でもないくせに…」



「俺やって、撃たれたりした」



…何か意外。

兄貴みたいに、避けそうなタイプに見えたけど。



「嘘や」



「……」



…変な嘘を吐くんじゃねぇよ。

こいつ、アホなんじゃない?



「12時46分、逮捕」



手錠を掛けた兄貴が言う。

立ち上がり、廊下で泣いてる子供たちに近付いた。



「怖がらせてごめんね?」



目の前に居る女の子に言うと、「お姉さんは…?」と、瞳に涙を浮かべながら訊かれた。