「…―っ!」

「…泣くなよ。」

困ったような声の薫。

だけど、私の涙を拭う薫の手はすごく優しくて、更に涙が溢れてきた。

「…香に泣かれると、どうすれば良いか分かんねぇよ。」

そう言って薫はそっと私の頭を抱き寄せた。

グズ

「ほら、泣くな。」

薫ってこんなに優しい声出すんだ…。

「…ねぇ、薫?」

「ん?」

「…さっきの本当?」

「香を好きなこと?」

薫に抱きしめられたまま、私は頷いた。

「本当、すげー好き。」

耳のすぐ傍から聞こえる薫の声に、これが夢なら永遠に覚めないで欲しいと思った。

「で、俺と付き合う?」