「どうしても帰んの?」

アイツの声がすこし寂しそうに聞こえたのは、都合良く考えすぎ?

「もう、出てきちゃったし…。」

今更戻れないし…。

「じゃ、ちょっと待ってろ。俺も鞄とってくるから。」

「は?」

ちょっと意味が分かんないんだけど。

「外も暗いし、1人じゃ危ないだろ。一緒に帰るぞ。」

「ちょっと、アンタ主役でしょ?先帰るとかみんな寂しがるよ。」

どうしてもアイツの言葉に期待してしまう私がいて、心臓がバクバクしている。

「別に良いだろ。俺もうあの場に戻る気ないし。」

どうしてそんな冷めてるんだろう。

「じゃ、待ってろ。」

反発する気持ちと期待する気持ちの間で、私は自分を保てそうになかった。

だけど、アイツの強い視線に頷くしかなかった。