「私ミスコンとか無理だと思う。」

あれから暫く議論が白熱してしまったけど、耐えきれなくなって手を挙げて辞退を申し出た。

「絶対美代ちゃんが良いと思うし…。」

だってもう辛いんだもん。

感情のない目で私をじっと見るアイツの視線が。

「そう?確かに香は注目されるの苦手だもんね。」

少し残念そうに、だけど無事にクラス代表が決まったことに安堵した様子の玲奈に、私もこれで良かったんだって自分に言い聞かせた。

アイツの隣に自分以外の女の子が並ぶ状況を自分で作り出して落ち込んでる気持ちを、必死に誤魔化すために…。

「んじゃ、小山くんと美代がクラス代表ね!焼き肉半額券に向けて大いに頑張ってね!!」

玲奈の言葉を受けて、クラスのみんなはもうその話題から興味を失ったみたいにそれぞれ友達と話し出した。

私はただ、

 小山薫
 牧野美代

並んだ2人の名前をじっと見ていた。