「小山やったな!」

安達くんに頭をグシャグシャにされながら、沢山の人に祝福の言葉をかけられてるアイツを、私はただ遠くから見ていた。

「かーおりっ!」

後ろからトントンと肩を叩かれて振り向くと、小枝だった。

「どうするの?」

「どうするって何を…?」

本当は、何のことを言っているのか分かるけどね。

「ますます人気出て、女の子たちのアピールも激しくなるよ。」

アイツの周りにはすでに女の子の壁が出来上がっている。

「仕方ないよ…。」

今更私がどう足掻いたって…。

「…アイツ好きな子いるって言ってたじゃん。」

そんな宣言されて、元々マイナスからスタートの私に一体何が出来るって言うんだろう…。

「もしもさ、小山くんが一途に想っている相手が香だったとしたらどうする?」

そんなの"もしも"過ぎるよ…。

「ねぇ、どうする?」

小枝の言葉に、私は涙が出そうになった。