結局、私は最後の候補者がアピールを終えてもアイツのことばかりが頭の中を占めていて、個人賞もクラス賞も投票する当てがなかった。

「香、書けた?」

詩織に声をかけられて、現実に引き戻される。

「え、うん…。」

急いで適当に名前を書く。

だけど、結局アイツしか浮かばなくて、

 小山薫

って書いた。

クラス賞は自分のクラス以外で書かなきゃいけなくて、思い付かなかった私は去年自分のクラスだった1-3って書いた。

あぁ、本当適当だな…。

玲奈にバレたら、怒られちゃうな。

「じゃ、投票しに行こう!」

詩織について、投票箱に入れに行く。

投票箱の置いてあるテーブルの前はごった返していた。

みんな誰に入れたんだろうか。