再び招集がかかって、私たちは体育館に向かった。

「この調子で行けば、焼き肉半額券はうちのクラスだなっ!」

前を歩く安達くんは完全に浮かれている。

「お前も焼き肉楽しみにしてるのか?」

何故か私は今アイツの隣を歩いている。

「まぁ。焼き肉好きだし。」

『色気より食い気かよ』とか心の中で笑ってるんだろうか。

無表情だから分かんないよ。

「エスコート…」

「え?」

小さな声で言われるから、アイツに耳を寄せないと聞きとれない。

「エスコートどうだった?」

「よ、良かったんじゃない?」

そんなに気になる?

あ、もしかしたらコイツは美代ちゃんが好きなのかもしれない。

「止めようかな。なんか気持ち悪いし…。」

自分の手を見ながらアイツがそっと呟いた言葉に、私の胸は複雑な気持ちになった。

それって私をエスコートしたことが気持ち悪かったってこと?

だけど美代ちゃんと手を繋がないでくれるなら、そっちの方が良い。